2025/05/23 14:12

ぶどう山椒の芳醇なる香りの主旋律「特撰・紀奥」
日本には、古くから香りを楽しむ繊細な文化があります。そのなかでも、「山椒(さんしょう)」は、香辛料としてだけでなく薬種としても大切にされてきた存在です。奈良時代の『大同類聚方』にもその名が記されており、平安時代の香文化お経て日本人の美意識の一端を、今に伝えてくれています。
山椒にはさまざまな種類があり、それぞれの土地で異なる風味を育んできた。飛騨山椒は岐阜県奥飛騨温泉郷でしか育たない「高原山椒(たかはらさんしょう)」とも呼ばれ「香り・辛さ・しびれ」の優れたバランスと柑橘系の上品で豊かな香りです。また但馬産の朝倉山椒は木トゲがなく他の山椒に比べて辛みがマイルドで、食べやすいといわれています。近年、欧州の王室関係者、著名なショコラティエなど海外からの引き合いも多い和歌山県有田川町産の「ぶどう山椒」は、その名のとおり大粒で、まるで葡萄に房で実をつけます。その香りは唯一無二の芳醇で格調たかく柑橘類特有の清涼感に加えて更に奥行きを感じさせてくれます。山間の澄んだ空気と水が育んだこの山椒は、日本が誇る香りの芸術品と言えるのではないでしょうか。
私共、七色蕃椒堂では、このぶどう山椒の魅力を余すところなく引き出し、主役の香りとして仕立てた七色唐辛子「特撰・紀奥」の調合を商品化致しました。2019年の商品化当初より全国のお客様より多数引き合いを頂き、お陰様で大人気商品となりました。唐辛子の辛さの中、同じ柑橘類である陳皮(お蜜柑の皮)の甘味を活かしつつ、胡麻や海苔の香りの上に、ぶどう山椒の豊かな香り主旋律として乗せ全体をまとめあげました。まさに、香りの交響曲のような七色唐辛子です。
「特撰・紀奥」は、和・洋・中を問わず、さまざまなお料理と相性が良く、生のままでも、焼いても、煮込んでも、その香りと風味が素材の持ち味を引き立てます。たとえば、白ワインで蒸した貝にひとふりすれば、海の香りに山椒の風が寄り添います。お肉やお魚のグリルに使えば、炭火の香ばしさと調和し、味わいに奥行きが生まれます。サラダやパスタ、和風の煮物に加えても、素材を邪魔することなく、香りのアクセントとして生きてきます。
山椒は、日本人の感性と風土が育てた貴重な宝です。その香りを生かした「特撰・紀奥」が、皆さまの食卓に新しい発見とよろこびをもたらすことができましたら、これほど嬉しいことはございません。